転職関連知識

『パパママ薬局』とは!?|転職希望の薬剤師から見たメリット・デメリット

『パパママ薬局』

そう聞いて、あなたはどんな薬局を想像しますか?

  • 商店街の一角にある昔ながらの小さな薬局
  • 古い病院の前に昔からある薬局
  • ロードサイドのクリニック脇にある小さな薬局

今、そんな以前からの捉え方が少しずつ変わってきていることをあなたは知っていますか?

この「パパママ薬局」という言葉の響きに対する感覚は、年代・世代によって異なるものになりつつあるのです。

駅前やロードサイドに次々にオープンする全国チェーンのドラッグストア。今やそうした場所でも当たり前のように処方箋が扱われ、一方で、大きな病院の周りには数多くの調剤薬局がひしめき合っている昨今、この「パパママ薬局」というのは一体どういった薬局のことを指すのでしょうか。

今回は、そんな「パパママ薬局」について、その定義から運営上のメリット・デメリット、そしてもちろん「”転職者目線” での職場」としてどうなのか、といった部分についても徹底的に掘り下げてみたいと思います。

『パパママ薬局』とは

『パパママ薬局』とは!?「メリット・デメリット」「転職者から見た魅力」に迫る

『パパママ薬局』というのは、簡潔に定義するとすれば、

家族経営を中心とした小規模な薬局

と言うことができるでしょう。

「なんだ、イメージ通りじゃん。」

そう感じられたでしょうか。

ただ、ここでのポイントは、あえて ”中心” という言い方をしている点にあります。

その理由は、ここ最近の薬局を取り巻く環境や経営形態の変化等によって、実態にそぐわない面も出てきているからです。

つまり、以前であれば「パパママ薬局」と言えば、文字通りの夫婦で経営、もしくは夫婦のどちらかが薬剤師で家族・親類で経営という営業形態をとっている薬局のことを指していましたが、最近では、必ずしもそうした家族経営の状態のみならず、運営母体や経営規模が小規模な薬局のことを総称してパパママ薬局と呼ぶようになっているのです。

看板は誰もが知る大手調剤薬局チェーンであったとしても、その薬局の1店舗単体での運営実態が、薬剤師1~2名規模での営業といった状態であれば、家族経営や夫婦で切り盛りしている薬局でなくとも、「パパママ薬局」と呼ぶようになってきているということです。

かと言って、そういった大手薬局チェーンなどが運営する小規模な店舗のことを、わざわざ「パパママ薬局」と呼ぶこともほとんどないかとは思いますが、では、そのような小規模薬局には、そこで働く薬剤師から見て、どのような「メリット・デメリット」が存在しているのでしょうか。

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メリット

『パパママ薬局』とは!?「メリット・デメリット」「転職者から見た魅力」に迫る

まずは「メリット」について考えてみます。

働き方の自由度が高い

1つ目のメリットは、従前の家族経営のような営業形態を前提とした場合、居宅と店舗を同一化もしくは至近距離とすることで、子供が小さかったり、要介護者が自宅にいる場合等、何かしら自宅での勤務の方が都合が良い場合に理想的な働き方が可能になるという点が挙げられます。

今や、「ノマドワーカー」や「リモートワーク」など、在宅での勤務を選択できる一般企業も非常に増えてきてはいますが、従前の「パパママ薬局」の様な、いわゆる1階の通りに面した位置に薬局店舗があり、その奥と2階が居宅といった形や、薬局を出店している商店街のすぐ近くに住まいがある場合などは、まさに”在宅ワーク”とも言える形で仕事をすることができるわけです。

薬剤師に限らず、子育てや親の介護など、家族のケアのために転職をするというのはよくある話です。

その点、薬剤師で、しかも上記の様な在宅ワークに近い状況が実現できる環境があるということは、仕事をしながらも、同時に家族に対するケアができるというわけですので、そうした事情のある人にとっては非常に魅力的な働き方であると言えるでしょう。

存在意義の大きさ

2つ目に、地域における「存在感の大きさ」を挙げたいと思います。

「存在感」とは、「安心感」と言い換えても良いかもしれませんが、やはりドラッグストアや大手薬局チェーンと、家族経営を中心としたパパママ薬局の最も大きな違いというのは、そこにいる経営者を含む薬剤師さんの患者さんに対する長期的な関与です。

この長期にわたる関わりこそが、ドラッグストアやチェーン店にない圧倒的な「安心感」を生んでいるという側面は否定できないでしょう。

高齢者やその薬局の周辺地域に住む体の不自由な患者さんなどは、訪問調剤や非常に長期にわたる薬歴管理といったサービスは非常にありがたく頼もしい存在で、何にも代えがたいものです。

大手チェーンでの画一化されたサービスでは提供するのが難しいような対応も臨機応変にとることができ、非常に「地域貢献度」が高いと言って良いでしょう。

患者さんにとって、「”いつもの薬剤師さん” が今日も薬を届けに来てくれる」、「自分の身体の状態を定期的に気にかけてくれている」、また、「いつもの薬局へ行けば、今日もいつもの薬剤師さんがいる」。こうした安心感というものは、やはり事務的になりがちで、幅広く親身になって対応をするという対応が難しい大手チェーンのオペレーションの中においては、なかなか醸成できないものであるかと思います。

大手薬局チェーンなどでは、経営判断である日突然店舗が閉鎖してしまったり、最近の働き方の多様化による薬剤師の転職の活発化や大手企業間での人材獲得競争の激化によって、安定した長期雇用の従業員を確保し続けることは難しくなっていることで、こうした ”地域に根ざした” 運営方針を継続するということが難しくなっています。

そういう意味で、やはりパパママ薬局の存在意義というのは、一部の患者さんたちにとっては非常におおきなものになっているというのが解るかと思います。

経営リスクの低減

さらに、大手資本が小規模で出店することのメリットという見方で言えば、”スクラップ&ビルド”、つまり新規出店と撤退のリスクの低減と、事業展開のスピード感の向上が見込めるという点が挙げられます。

これは上記の ”地域密着型” という発想とは真逆の考え方ですが、冒頭でも触れた通り、大きな病院の周辺や新たに開業するクリニックの周りには、時に10件近くなるような数の調剤薬局がひしめき合っています。そうした状況からも解る通り、資金力のある大手チェーンを中心に、薬局を運営する大企業というのは、新たな出店候補地を血眼になって探しているというのが現実です。

そうした営業攻勢をかける中、1店舗の出店・運営規模を抑えておくことで、後々の ”立地の悪さ” や ”門前病院の流行り廃り” 等による経営リスクに対する対応、そして店舗の運営管理そのものが容易にできるというメリットがあるわけです。

大手企業がいくら資金力があるとは言え、採算の合わない投資を繰り返すわけにはいきませんし、上場企業などであれば、経営に目を光らせている株主や債権者を中心とした利害関係者にも説明が付きません。

したがって、パパママ薬局と言われるようなごく小規模での出店とすることで、新規出店時のイニシャルコストを抑えることができると同時に、万一の撤退の際にもその傷をできる限り小さくすることができるわけです。

デメリット

『パパママ薬局』とは!?|転職希望の薬剤師から見たメリット・デメリット

さて、以上の様なメリットが考えられる一方、「デメリット」の方はどうでしょうか。

経済的なリスク

まず、家族経営の薬局を営むということは、経営のリスクを家族全体で負うということになりますので、経済的なリスク面においてはデメリットと言わざるを得ない場合もあるでしょう。

つまり、夫婦がともに薬剤師であった場合などは、一人が自ら経営するパパママ薬局を営み、もう一人は外部の大手製薬会社や病院、研究施設等に勤務することで、万一の薬局の経営状態の悪化といった最悪の事態にも収入が確保できる一方、家族経営で一家総出で切り盛りしているとなると、そうした万一の際のリスクというのは避けられません。

もちろん、大病院の門前など、地の利を生かした繁盛店で、経営リスクが非常に小さい状況が確保されているような薬局であるという前提であれば、経済的なリスクに対する心配はほとんど不要と言って良いでしょう。

ただ、現実はそう甘くはありません。

院外処方から院内へと逆に切り替える病院なども出てくる中、「面分業の強化」といった経営戦略も考えられるとはいえ、100%長期安定的に処方箋を受け続けられるという保障はどこにもないわけです。

さらに、最近では、一部の病院周辺における調剤薬局の乱立が問題視されていることからも解るように、競合他社との競争も激しさを増すばかりです。

夫婦及び家族だけで経営リスクを全て背負っている場合、門前病院の経営方針や周辺のライバル薬局の動向等、外的要因に万一大きな変化が起きた時には、突然経営が不安定化することもあるわけです。

政府の ”医療費削減” の大号令のもと、調剤薬局の運営にかかる法制度の改定も、薬局経営者には非常に厳しい方向へとどんどんと進んでいっています。

そうした面での経済的・経営的なリスクという点においては、やはりデメリットは大きいと言わざるを得ない状況となっています。

労働環境

次にデメリットとして挙げられるのが、労働環境です。

夫婦のどちらか一方が薬剤師で、完全なリーダーシップが確立されていて、仕事上は完全に割り切って仕事ができているという場合、もしくは、夫婦お互いに対するリスペクトが止む事がなく、要は何の問題も起きずひたすらに仲が良い場合、これらの場合には、勤務形態の面で問題が発生するということはないでしょう。

でも、どうでしょう。特に後者などは、100組に1組あれば良い方ではないでしょうか。

自宅でも一緒、職場でも一緒、と四六時中顔を合わせている状況となると、薬局の経営上の問題から、日常の些細なことでのいさかいなど、何かしら意見が対立したり考えがまとまらないといったことはいくらでも起こり得るわけです。

そんな夫婦間の問題が仕事場にも持ち込まれることを想像してみてください。これは非常に厄介です。

関係がぎくしゃくしている状態で、スムーズに仕事を進めようと思っても、それは無理がありますよね。お互いに何かしら腹を立て、口もききたくないという状態に陥ってしまっているような時に、二人で力を合わせて1つの仕事を成し遂げるといったことは非常に難しいと思います。

ということで、この”近すぎる距離感”というものは、時に大きなデメリットとなってしまう場合もあるかと思います。

後継者問題

また、これはデメリットというよりは、昨今の薬局を取り巻く環境が生んだ問題とも言うべきことかもしれませんが、やはり地方の商店街で地域密着型でやっていたようなかつての家族経営を中心としたパパママ薬局では、後継者問題というものも付きまといます。

前述の様に、大手資本の薬局チェーンやドラッグストアが積極的に出店攻勢を掛ける中、そうした周辺地域に根差した小規模な薬局というのは、悲しいかな、一部の人にとってはどんどんとその存在意義が薄れてきてしまっているというのも現実です。

両親が切り盛りしていた薬局がそうした時代の流れによって淘汰されつつあることが容易に想像される一方、もしそのお子さんが晴れて薬剤師になられたとしても、もうその薬局を継ごうという気は起こりにくいでしょうし、実際にその選択が正解である場合も多いのではないかと思います。

いくら「今まで頑張って来たんだから。」とか、「せっかくの家業を残したい。」などとノスタルジックな感情論で薬局の継続を目指したとしても、消費者の価値観の変化や法制度の改定、商店街からショッピングモール等へというような大きな人の流れといったものは止めようもありません。

デメリットと言うよりも、死活問題となっているケースもあるかと思いますが、この後継者問題についても、小規模で運営する薬局では、いつしか考えなくてはならないタイミングが必ず訪れることになるでしょう。

パパママ薬局への転職はおすすめ?

『パパママ薬局』とは!?「メリット・デメリット」「転職者から見た魅力」に迫る

さて、ここまで「パパママ薬局」そのものの良さや問題点といった部分にフォーカスして見てきましたが、”転職者の選択肢”として見た場合、「パパママ薬局」はどのように捉えておけば良いのでしょうか。

薬局業務全般の経験が積める

まず、運営規模が小さい分、あらゆる業務を経験できる可能性が高いということが言えるかと思います。

その薬局の経営者たる夫婦どちらかがリーダーシップを取っている場合で、パートでの採用であったとしても、規模の小ささが逆にメリットとなり、業務や運営の全体を見渡しながら仕事ができるという点においては、将来的に開業を目指す薬剤師さんや、薬局経営の勉強をしておきたいといった意欲のある薬剤師さんにはうってつけの環境ではないかと思います。

地域貢献度の高さ

さらに、地域密着度が高いという点も特徴として挙げられるでしょう。

もともと”地域医療への貢献”といったことを志して薬剤師になった人や、そういった部分にこそやりがいを感じることができるという薬剤師さんであれば、このパパママ薬局での仕事は非常に満足度の高いものになる可能性があるのではないかと思います。

人間関係の安定感

当該薬局の経営者がアットホームな雰囲気を重視していて、非常に居心地の良い職場環境を創り上げている場合などでは、そこに通う患者さんとの関係性も含めて良い人間関係を築くことができる可能性も高いのではないかと思います。

数人規模で運営するパパママ薬局では、うまく気の合うスタッフが集まった職場であれば、それこそ本当に家族の様な心地よい関係性で仕事ができるということも可能かもしれません。

転勤がない

また、「地域密着度の高さ」と「規模の小ささ」の両面から言えるメリットとして、遠方への転勤等がないという点もメリットになる人がいるかもしれません。

もちろん、大手のドラッグストアや製薬会社等でも、転勤のない職種で就職するとか、転勤がないことを条件として労働条件をあらかじめ組んでもらうことで希望を通すということも可能です。

ただ、小規模経営で店舗数も1、2店舗というパパママ薬局の場合であれば、そもそも転勤しようにもできませんので、自分の自宅近くに通勤に便利で雰囲気の良さそうな薬局があり、長年にわたって勤務をしたいといった場合には非常に魅力的な条件となるのではないかと思います。

やりがいが薄いと感じることも

一方で、小規模な経営スタイルで、常連の患者さんを中心に処方するスタイルがどうしても多くなってくる地域密着型のパパママ薬局では、仕事が単調になってしまい、仕事にやりがいを感じにくくなってしまったり、新たな事に挑戦する様な事業展開といった様なものも望めずに、向上心の強い人などは物足りなさを感じてしまうということもあるかもしれません。

社内での勉強会や講習会、薬剤師としての知識や能力をブラッシュアップするための各種イベントへの奨励、最新の医療に触れる機会など、大手資本の会社と比較するとそのチャンスはやはり限られてしまうことになるでしょう。

パパママ薬局の存在を否定するわけではありませんが、海外赴任の話や大きなプロジェクトへのあこがれがあるといった、上昇志向の強い薬剤師さんである場合には、やはり現実的に大手の製薬会社や薬局チェーン、医療施設など国際的な活躍の場が提供されているような世界に飛び込んだ方が、満足度は高いと言わざるを得ないでしょう。

大手の製薬会社や薬局チェーンであれば、場合によっては調剤業務以外の全く異なる仕事を任せてもらえたり、新たな薬局運営の企画の部分に参画出来たりといった、より創造的な仕事にありつける可能性もありますので、そういった刺激的な仕事をしていきたいという人にはやはりパパママ薬局は向かないかもしれません。

人間関係の不安

先程メリットとして挙げたアットホームな環境等の人間関係の部分についても、これは当然時に諸刃の剣となるものであることは容易に想像がつくでしょう。

人間関係の問題というのは、どこに地雷が隠れているかも想像できない程に、様々な理由から起こり得るものです。

入社当時から数年間は非常に良好な関係性を保てていたとしても、ある時なんらかの原因で関係がぎくしゃくしてしまったとしたら、その後は非常に大変です。それまではメリットであった、小さな空間、狭い環境が一転して大きなデメリットとなってしまうわけです。

前半で、パパママ薬局自体の特徴としてもお話したように、毎日毎日決まった顔の人たちと四六時中顔を合わせて仕事をすることになる中で、一度そういった亀裂が発生してしまったとしたら、すぐに関係を修復できれば良いですが、そうでなければとても息苦しい職場と化してしまいます。

ただし、就職や転職する前からそんなことを考えてしまっていては、どこにも行けません。

先ほども触れたように、人間関係の問題の”種”というものは、どんな組織であれ、どんな仕事であれ、いつ何時起こるとも分からないわけですので、やはりそこはポジティブな発想で捉えておくしかないかと思います。

まずは、「自分が理想とする働き方に合っているのかどうか」という点を軸にして考えて見られることをおすすめします。

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まとめ

『パパママ薬局』とは!?|転職希望の薬剤師から見たメリット・デメリット

いかがでしたでしょうか。

今回は『パパママ薬局』について、その特徴から転職者が気にかけておくべき点という部分までまとめてきました。

小規模な運営によるメリット・デメリット、そして大企業にはない良さ、逆に、パパママ薬局ではなかなか望めない働き方といった部分についてもある程度イメージしてもらえたのではないかと思います。

当サイトでは何度もお伝えしていることですが、「自分が職場に対して最も重視するものとは一体何なのか。」それを明確にし、そしてそれを形にできる職場を見つけ出すために、今回の記事がお役に立てばとても光栄です。

それでは。

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