コラム

【コラム】薬の世界にもAIが『ドラッグリポジショニング』医薬品の有効活用

「医療」の世界と「人工知能技術」の親和性の高さは、常日頃盛んに議論が行われていることではありますが、医薬品業界において、しかも業務効率や処方などの部分ではなく、創薬・薬剤の転用といった”開発”の部分におけるAI活用の話題が入ってきました。

この話題を理解するためには、『ドラッグリポジショニング』という言葉を知っている必要があります。

「ドラッグリポジショニング」とは、「開発が中止になってしまった医薬品や、既存の医薬品に用いらている候補化合物を、別の病気に応用すべく改めて開発し直すこと」です。

「”リ”ポジショニング」ということで、ポジションの置き換え、再考という意味では文字通りなのですが、今回のニュースの何かすごいのかと言うと、これらの医薬品に関する効き目や副作用といったデータ、いわゆる「ビックデータ」の解析にAIを活用することで、このドラッグリポジショニングの研究が飛躍的に進化していく可能性があるということです。

つまり、既存の医薬品の”未知なる可能性”を、AIがデータから予測してくれることによって、より一層効率的な研究開発が可能になるということです。

一般的な創薬の手順としては、実際に病態を解明した後、その病気を抑え込むための化合物を探し出します。そして、その効果や安全性といった実用化へ向けた実験を動物実験などによって行うことで実際に上市されるようになるというものでした。

以前から、このドラッグリポジショニングの研究は行われていたものの、最近になって様々な薬の服用による健康への影響などの結果をまとめたデータベースの整備が進んだことで、AIを活用するための素地が固まり、研究開発に弾みがついてきたというわけです。

これまで想定されていた薬の効果”以外”の効用として、便秘向けの漢方薬の大腸がんへの有効性、精神病薬の前立腺がんへの有効性などが、AIの予測から明らかになりつつあります。

研究者からは、「AIの活用によって、こうした大量のデータベースの解析が可能になれば、ドラッグリポジショニングの研究をより効率化できる。」といった声があがっています。

新薬開発の費用増加に苦しむ企業サイドにおいても同様の取り組みが進められていて、2010年ごろから活発になってきているといいます。

また、海外においても、大手製薬会社やベンチャー企業を中心にこうした研究の成果を共有する様な学会等が盛んに開催され、支援団体なども現れるなど、非常に注目されています。

医薬品の開発費が高騰し、少子高齢化などの構造的な問題も重なることでコストが膨張し続ける中、こうした技術が発達することによって薬価が下がり、結果として医療財政が改善されるというのは、マクロ的な観点からも非常に有益なことだと言えるでしょう。

今後ますますデータベースの整備やAI技術の進展が見込まれる中において、このドラッグリポジショニングの効率的な実用化期待したいところですね。

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