”「スマホアプリ」で病気を治療する”という日が訪れようとしています。
今回実用化の目途が立ったとされるのが、”病気治療を目的としたアプリ”で、2014年の法改正によって、こうしたスマホアプリなどが「ソフトウエア医療機器」とする分野で医療機器として承認を受けられるようになったこともあり、今後ますます普及が進むことが期待されています。
その第一歩が、「禁煙外来」。
禁煙しようとする患者が、医師から処方されたアプリによってスマホに表示される指示に従うことで、断続的に発生する「たばこを吸いたい」という欲求を抑えていくことが可能になります。
実際の操作では、まず体重などの基礎項目を入力し、たばこを欲する際の欲求の強さなどの質問に答えます。すると、それらの入力内容から、アプリ側が患者の喫煙したいという欲求の発生しそうなタイミングを見計らい、そうした欲求を和らげるための行動を指示してくれます。
寝起きや食後といった喫煙者が「吸いたい。」と感じるタイミングで、代わりにガムを噛むことや、深呼吸をして気持ちをリセットすることなどを促す指示を出してくれ、その指示に従うことで徐々に禁煙に導いていくというわけです。
既存の「健康支援アプリ」ではなく、今回「医療機器」として承認を受けられることになった背景には、現場の医師の知見やノウハウ、学術論文などの専門知識をもとに助言が行われるという仕組みがあります。スマホの中に医師がいて、患者を常に”監視”しているような感覚になるかもしれませんが、こうした治療の場合には、その”緊張感”こそ重要だったりします。外部の人間が断続的に介入することで、心理的な依存状態を軽減することが可能になるわけです。
健康支援アプリでは、健康促進のための生活習慣の改善を目指す食事や運動といった項目の記録といったことに主眼が置かれていましたが、治療を目的とすることをうたうことはできませんでした。
一方で、今回の「ソフトウエア医療機器」は、あくまで医師が処方するため、既存の薬や医療機器と同様の扱いとなり、当然発売前の臨床試験(治験)が必要となってきます。
米国では既に実用化が進み、2018年には治験も終えています。
禁煙外来の他にも、うつ症状の緩和や生活習慣病の予防といった面で、臨床現場の医師からの期待も大きいと言います。
これまで病院の外来で「薬」を処方され、それを服用することで治療を行っていたものが、「アプリ」の働きかけによって病に立ち向かう、そんな人たちを目にする機会も増えてくるかもしれません。