コラム

「インフルエンザの予防法と対策」そして『ゾフルーザ』について考える

流行ってますね、『インフルエンザ』。流行り過ぎです。

今季は「A型」の中でも「2種類」あるとされ、同じ人が「”異なる”A型」にそれぞれ時間差で感染することで、インフルを2回発症するという最悪の事態もあると言います。

2019年が始まってから”第4週目”となる1月21日~27日時点における、その推定患者数は全国で累計【約228万人】にのぼり、1999年の集計開始以来”過去最多”となったそうです。(出所:厚生労働省)

いますよね、あなたの周りにも。

「会社の人にうつされたー。」「子供が学校(や幼稚園)でもらってきちゃった~。」

もしかすると、あなたもそうかもしれませんが。。中には、

「風邪の薬をもらいに内科へ行ったら、インフルをもらって帰って来た。」なんていう”笑えない”話も耳にします。

医者の「おすすめ予防法」なるお話もあちらこちらで聞かれますが、やっぱり対策はシンプルに、

  • マスク着用
  • 手洗い・うがい

というのが”定石”のようです。

「マスクは1回外したらもう使うな。」とか、「インフルエンザウイルスは鼻の粘膜から入るので、うがいは効果がない。」とか、細かな部分では医師の見解も様々ですが、基本的にはしっかりとマスクをして”進入”を防ぎ、手や口内にウイルスが付着しないよう、外出時はむやみにモノに触れない、付着した可能性のある菌は”洗い流す”ということが大切なようです。

そしてさらに言えば、今の様な”異常事態”には特に、

  • 出来る限り「人混み」は避ける
  • むやみに出歩かない

ということを心掛けて行動するぐらいの慎重さが重要になってくるでしょう。

これは、私も個人的に非常に納得です。

私もこれまで人生で一度だけインフルエンザに感染したことがあるのですが、その時は、「満員電車でうつされた可能性」が高かったからです。いくらマスクをしているとはいえ、東京の通勤ラッシュというものは、ある意味”あり得ない”距離に罹患の可能性のある”患者”たちがいるわけですから、無理もありません。

今思えば、上記の対策をはじめ、「インフルの流行期だけは満員電車を避けて出勤時間をずらす」などの対策を徹底しておくべきだったなと思います。

しかも私の場合、お恥ずかしながら、その初めてのインフルエンザ罹患まで「予防接種」を受けたことがありませんでした。

大事ですね、「予防接種」。

インフル対策の「予防接種」というのは、その効果の「3~4割が感染予防」、「6~7割が重症化予防」とのことですが、これも、「ウイルスのタイプによっては予防接種も意味をなさない。」など様々な見解があるようです。

さて、そんなインフルエンザの”猛威”の凄まじさと並行して、今年非常に注目が集まっていることと言えば、タイトルにもある通り『ゾフルーザ』です。

このゾフルーザ、様々な話題が出ていますので、参考までにちょっとそのあたりをまとめておこうと思います。

『ゾフルーザ』とは

まず、「ゾフルーザ」という薬についてですが、一般名は『バロキサビルマルボキシル錠』、薬価は『2394.5円:20g1錠』とされていて、主な特徴は以下の通りです。

  1. 錠剤で、しかも「1度の服用」のみ
  2. インフル薬の国内市場シェアの約半数
  3. 日本の製薬会社「塩野義製薬」が発売

まず、2018年に発売されたこの「ゾフルーザ」という薬の最大の特徴は、なんといってもその「服用の手軽さ」でしょう。

これまでインフル薬の”2大巨頭”とされてきた「タミフル(ロシュ社:スイス)」だと1日2回を5日間服用する必要があり、一方の「イナビル(第一三共:日本)」でも粉状の薬を吸引する必要があったりと、やや手間のかかる薬という扱いでしたので、「ゾフルーザ」の「錠剤を1度だけ服用」というのは、圧倒的に”手軽”です。

そんな「ゾフルーザ」ですが、いまやインフル薬において、前出の「タミフル」、「イナビル」という2大巨頭を抑えて、【シェア:47%】(出所:厚労省調査および日経集計)と、約半数に及ぶシェアを獲得しているそうです。

その裏には、日本の製薬会社である「塩野義製薬」の”こだわり”が隠されていました。

現社長である手代木氏は、2008年の社長就任後、様々な社内改革に取り組みます。

ロシュを中心とした海外大手製薬会社との関係の見直しや、自らの足で現場の医師の元を回るなどの営業戦略の再構築、さらには社内での研究開発体制の見直しまで、様々な”改革”が行われたと言います。

中でも、今回のゾフルーザの成功に通ずるものとして大きな一手が、「感染症」に対する研究開発体制の見直しでした。

過去、感染症の研究開発を半世紀以上にわたって続けて来たという実績はあったものの、社内での位置づけは”マイノリティ”。「抗がん剤」を中心とした、いわば製薬会社の”主流”とされる分野に期待を寄せる体制が続いていました。

そんな最中、手代木氏が「感染症の研究開発に注力する」ことを打ち出し、国内の製薬メーカー大手においても唯一、感染症を看板として、スピード感を持った形で臨床、発売へとこぎつけたのです。

実際に発売されてからは、周知の通り、想定を上回る物凄い需要のもと、休みなしの”24時間フル生産”体制を敷いているとのことです。

一方で、”いち企業”としては全てが順調というわけにもいかないようです。

そもそも「感染症」は、一過性の”流行”に左右されるという面もあり、期間にして「1~2週間」で投薬が終わってしまいます。そのため、抗がん剤の様な流行に左右されないものに比べて、市場規模が小さいのです。

ただ、そうは言っても、感染症もいざ実際に罹患したということになれば、当然治療が必要となるものであり、場合によっては、悪化させることで命を脅かす可能性があることも事実です。塩野義はその”存在意義”にも目を向けて、感染症の研究開発を続けて来たと言います。

『ゾフルーザ』の今後

そんな一躍”ヒーロー”に躍り出た「ゾフルーザ」ですが、一部で今後の浸透へ向けたリスクも見つかって来ています。

2019年1月下旬、国立感染症研究所の調査によって、ゾフルーザに対して体制のあるウイルスが検出されたのです。

もともと、耐性ウイルスの発生しやすいものであるという点は、臨床試験でも判っていて、学会での説明もなされていましたが、現場の医師からは「医療現場向けにはもっと詳細な説明が必要だった。」といった声が上がっています。

こうした背景から、現場の医師が処方を控えるということも起きてきているそうで、一時の爆発的な需要は一旦は落ち着く可能性が高そうです。

しかし、耐性ウイルスが検出されたからといって、当然いきなり”使えない薬”となるわけではなく、その辺りは現場の医師の的確な判断が必要であるとの指摘もされています。

いずれにしても、インフルエンザという、身近だけど怖い存在に、「これがあって良かった。」と思わせてくれるような薬を開発してくれている製薬メーカーには頭が下がる思いになりますね。

今後さらに研究開発が進むことを期待したいと思います。

まとめ

さて、今回はインフルエンザに対抗する”新星”、「ゾフルーザ」についてお話ししました。

『ips細胞』や『オプジーボ』など、近年の医学の進歩は目覚ましいものがあるように感じます。

ただ、どんな大発見でも、そこには「一握りの研究者の”こだわり”」であったり、「長年の研究開発の成果」といった人知れぬ努力と苦悩が常にあるということにも改めて気付かされます。

人材や予算、国や公共機関の方針との整合性など、様々な問題を乗り越えて、やっとの想いで日の目を見る”薬たち”ですが、世の中に発表されるだけまだ幸せな方なのかもしれません。

偉大な研究者やノーベル賞受賞者など、大きな成功を収めた科学者たちが異口同音に口にするのは、「より一層の研究開発体制の整備の必要性」といった、そこに至るまでの構造的な不備に関する危機感です。

皆がそうだとは言いませんが、永田町の方々には、「失言がどうだ」、「愛人がどうだ」と、はっきり言って”どうでも良いこと”の「揚げ足取り」ばかりしてるのではなく、本当に「人類」と「国家」の未来について真剣に考えてもらいたいと心底思います。

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