臨床試験(治験)の期間が、1割程度短縮される可能性が出てきました。
スイスのノバルティスなど、世界の製薬大手が患者の自宅における臨床試験を始めたということです。今後、”IoT”の急速な発展が見込まれる中、先端技術を用いて病院などとのデータのやり取りを行うことで、これまで3~7年とされてきた治験期間が1割ほど短くなるとされています。
こうした試みは「バーチャル治験」と呼ばれ、患者側はスマートフォンなどで参加を申し込むことが可能です。申込後は、貸与された計測器やウェアブル端末等によってそのデータを病院へ送ることで治験に参加します。
ノバルティスではすでにいくつかの分野でこのバーチャル治験を実施していて、今後3年間、2021年3月末までで10件実施予定とのことです。また、今回の治験方法により、これまでより参加率が3割程度高まっているとし、これまで発生しがちであった治験のスケジュールの遅れも減っているとのことです。
日本でも実用化の目処が立ちつつあり、米ファイザーの日本法人は2019年中にも同様の実験を始めるということで、併せて、武田薬品工業などの日本勢も関心を高めています。
今後どんどんとこうしたバーチャル試験の方法は広がりを見せると考えられており、これまの課題でもあった研究開発費用の中における治験のコスト比率低下にも貢献することが期待されています。
他にも、治験でのコスト削減等の効率化の方法として、このバーチャル治験以外にも、AIを駆使した方法なども実験が進められており、今後様々な方法によって薬剤の研究開発の進展が見込まれそうです。
一方で、治験をめぐっては、規制面においてそれを統括する厚生労働省も仕組みづくりに乗り出すと話しており、今後肥大化することが確実視されている医療費の抑制に寄与する形での進展が期待されています。