転職関連データ集

【薬剤師の離職率】”どのくらいの人”が”どんな理由”で辞めているのか徹底調査

あなたは、薬剤師の離職率がどのくらいか、知っていますか?

近頃では、大企業を中心として「働き方改革」の大合唱のもと、いかに生産性を落とさずに従業員の仕事”以外”での充実度を高められるかという実験的な取り組みが徐々に広がりを見せつつありますが、薬剤師さんの職場ではどうでしょう。

これは非常に難しい問題です。

薬剤師さんを取り巻く「医療の現場」という場所には、働き手の人生観や満足度を度外視してでも動き続けなければならない、人の命を救うための”使命感”といったものが存在します。医師不足等から、自分の身体にムチ打って他人の命のために無理をし、過労死に至ってしまう医師などはその典型と言えるでしょう。

そんな時代背景がある中で、今回は、薬剤師さんたちがどんなキャリアを選択しているのかということを図るための指標として「離職率」を取り上げてみたいと思います。

厳しい労働環境や現場での辛い仕事が続いてくると、人は誰でも「もう辞めたい。」そんな気持ちに駆られるはずです。一部の薬剤さんからは、

「薬剤師なんて、一部のドクターのように、そこまで大それた役割を担ってる意識はないよ。」

そんな”謙遜”の声も聞こえて来るのですが、実際のところはどうなのでしょうか。

今回は、そんな「薬剤師の”辞め時”」について迫っていきたいと思います。

  • 「薬剤師って、どんな時に会社を辞めてるんだろう。」
  • 「そもそも薬剤師って長期間同じ会社に勤める人が多いのかな。それとも結構すぐ辞めちゃってるのかな。」

そんな疑問を解きほぐすべく、『会社を辞める』ということについて、みんなはどうしているのかという「離職状況の把握」から、その「理由」の部分まで、あなたが本当に会社を辞めることになった時のイメージを今から持てる様な形で解説していきますので、是非参考にしてみてくださいね。

‐ Contents (目次) ‐

【離職率】薬剤師はどのくらい辞めているのか

まずは、薬剤師さんが「どのぐらい会社を辞めているのか」という「離職の実態」について見ていきたいと思います。

結論から言うと、薬剤師全体で見た離職率は【約10%程度】という結果となりました。

残念ながら、「今年は〇〇人の薬剤師が勤務先を退職しました。」というような、ピンポイントの”統計結果”というものは存在しないようですので、様々な場所からデータを引用し、推計した結果というのがこの数字です。

はじめに、国のデータですが(「国の統計データ」というものも、もはや信用できなくなりつつありますが、、、まさに”統計不信”を生み出した)、厚生労働省が『転職者実態調査』というものを行っています。

この最新版を確認すると、「在籍する一般労働者に対する転職者割合」という項目において、「薬剤師」の属する産業分類である「医療・福祉」に限定すれば【11.3%】、「薬局」という業態を前提とした「卸売業、小売業」という産業分類で見ると、【6.9%】という数字が確認できます。

したがって、この統計からは、薬剤師さんのいる職場において、約7~10%程度、おおよそ10人に1人の人がいわゆる”転職組”ということが見て取れます。

厚生労働省『転職者実態調査』

さらに、「メディカルマーケティングプロモーションリサーチ(MMPR)」という調査機関が、報道関係者向けに発表した統計データによると、薬局勤務の薬剤師の離職率は【9%】程度だとされています。

MMPR『保険薬局の離職率実態調査』

ここでも、転職者の割合は1割弱程度と、厚労省統計とほぼ同じ数字であることが確認できます。

また、事業所および店舗の”規模別”で見てみると、上記両統計ともに「事業規模と離職率の間には逆相関関係が認められる」という結果になっています。

つまり、「事業規模が大きいと離職率は低く、事業規模が小さいと離職率が高い」という関係が成り立っているのです。

これは、薬剤師の労働条件というのは、一般的に大規模な企業や医療施設だからといって他より良いとは言えず、むしろ中小零細企業の方が、薬剤師を採用する際の諸条件を良くしている場合が多いという現実があるにもかかわらず、多くの薬剤師たちが大規模事業者への就職・転職を希望しているということからも判る通り、やはり基本的には「有名企業や大病院に長く勤めるという形こそが理想的とされている」という背景が色濃く反映されたものと言えるでしょう。

つまり、多くの薬剤師が給与等の条件よりも、企業としての「ネームバリュー」や、病院や研究機関といった「業態としての安定性」を優先した就職・転職活動を行っているということが言えるかと思います。

ちなみに、薬剤師ではなく、他の職種の離職率を見てみると、全産業平均での「一般労働者に対する転職者割合」は【7.9%】となっていて、最高は「不動産業、物品賃貸業」の【12.6%】です。

これらの結果を見ると、薬剤師の離職率が概ね10%程度というのは、全体から見て”少し高め”ということがわかります。

この背景には、以前より落ち着いたとはいえ、薬剤師の就職・転職市場が、現時点においてもやはりまだ”売り手市場”だという状況があることは間違いないでしょう。

あらゆる産業で「労働力不足」が叫ばれている昨今、”労働力”、”戦力”としての「人材獲得競争」が激化し、薬剤師の職場たる薬局や製薬会社、研究機関や病院といった場所でも類に漏れず、企業側からしてみれば非常に厳しい採用環境が続いています。

一度就職した薬剤師さんが、他社や異なる職種の転職情報等に目を向けてみると、良さそうな条件の会社がいくらでも見つかるわけです。

実際には、「自分にとって理想的な職場」というものを考える上において、労働条件で言えば、その人の理想とする働き方に本当にマッチしているのかといったことや、そもそも人間関係の問題の有無など、労働条件に関係のない部分での”働きやすさ”はどうなのかといったことは非常に重要です。

でも、やはり人間、”欲”もあれば、価値観も変化していきます。

今よりも給料が大きくアップする会社や、働く時間がフレキシブルで働きやすそうな会社など、労働条件が改善される会社を見つけると、否が応でも心が揺らぐという気持ちもわかります。

薬剤師さんの離職率が他の業種と比較して”少し高め”なのは、そうした転職市場における”好条件の多さ”が影響している部分もあると見て良いでしょう。

ということで、各種統計等からの推計値ではありますが、薬剤師さんの離職率は概ね【10%程度】ということが判りました。

中小零細企業に勤めている薬剤師さんなどは、肌感としては、「いやいや、ウチはもっと人の入れ替わりが激しいよ。」とか、反対に「ウチなんて、ここ何年も新人や転職者なんて見てないよ。」といった会社もあるかもしれませんが、全体でみると、概ね10人に1人が転職していると考えておけば良いかと思います。

【理由】どんな時に退職を決意するのか

さて、続いては「薬剤師さんたちは、一体”どんな時に”会社を辞めてるの?」という、その「理由」の部分について考えていくことにしましょう。

これは、当サイトでは↓コチラ↓の記事内で「転職理由別」という形でもまとめているのですが、

【保存版】おすすめの薬剤師転職サイト【転職理由別・希望職種別】選び方
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退職理由は大きく分けて3つです。

  • 「結婚」や「子育て」、「引越」などの「家庭環境の変化」
  • 現状の年収や福利厚生、その他社内での処遇や勤務時間等の「労働条件に対する不満」
  • 様々な理由から職場の人たちとの関係が悪化してしまっているという「人間関係の問題」

ほとんどのケースがこの3つのどれかのパターンに該当しています。

それぞれの比率はどうなっているでしょうか。先ほどご紹介した厚労省の統計データを見てみると、

この様になっています。

この結果から見て取れることは、「労働条件に対する不満」を離職理由として挙げている人がほとんどだということです。

最も多い離職理由が「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」の【27.3%】、次に多かったのが「満足のいく仕事内容でなかったから」の【26.7%】、そして「賃金が低かったから」の【25.1%】、「会社の将来に不安を感じたから」の【24.2%】と続き、「人間関係がうまくいかなかったから」という理由は【17.7%】で5番目となっています。(複数回答可)

先程ご紹介したような、結婚や育児、介護や引越などの”やむを得ない事情”による離職というのは、あるのはあるものの、その数は非常に少なく、皆「仕事内容」や「給与等の労働条件」、そして「人間関係」を理由にして離職しているという実態が浮かび上がっています。

念のため補足しておくと、この厚労省調査というのは、薬剤師のみを対象としたものではありません。しかし、薬剤師を対象とした場合であったとしても、結果はほとんど同じと考えて良いと思っています。

なぜなら、「薬剤師」という職種の”特殊性”は、その他一般の社会人等と比較して、人間が働くことに対して抱く不平・不満といった感情や、労働条件および人間関係の問題その他退職理由そのものに、「例外的要素」として直接に影響を及ぼすものではないからです。

つまり、一般の人が会社や同僚に対して感じる仕事上の不満というものは、それが薬剤師だからと言って大きく異なってくるということはないということです。

業種間での水準の違いこそあれど、一般の社会人が給与や勤務時間に不満を感じるのと同じように、薬剤師さんたちもそれに対して不満を感じるわけですし、一般の社会人が職場で人間関係の問題を抱えるのと同じように、薬剤師さんたちも職場で人間関係の問題を抱えてしまうということがあるわけです。

ただし、1点だけ、これは「薬剤師」というよりも、薬剤師を”含む”「専門性の高い職業の人」に言える、と言った方が良いかもしれませんが、「注意すべき特徴」というものが存在します。

それが、「入社前の仕事に対するイメージと、実際の業務内容にギャップがあったから。」という理由によって離職を検討する場合です。

先程の調査結果においても、「満足のいく仕事内容でなかったから」という離職理由は【26.7%】で堂々の2位となっていましたが、特に、薬剤師の仕事というのは、各人の持っている”専門性の高さ”とは裏腹に、実際の現場においては、その仕事内容が”単純労働化”してしまっていたり、毎日に変化がなく単調な作業の繰り返しになってしまっていることで、「本当に私の専門性を活かせているのだろうか。」という疑問が浮かんできてしまうということがよくあります

要は、自分の「専門性の高さ」と、「仕事内容の単純さ」の”差”によって、「やりがい」を感じなくなってしまうということが非常に多いのです。

(「6年制」になってからは特に) 長い学生生活を経て、難関国家試験に合格し、晴れて薬剤師資格を手に入れ、地域医療への貢献や薬剤の研究を通した医療の発展の一翼を担うんだという”高い志”・”使命感”といったものを胸に、社会へと飛び出したは良いものの、いざ仕事を始めてみたら、来る日も来る日も変わらず同じような作業の繰り返し。

「今の仕事に”やりがい”なんて、ない。」

「こんな毎日を送るために、薬剤師になったんだったっけ。」

そんな感覚を抱き始めた頃に、ふと「転職」の二文字が頭に浮かんでくる。

あなたは心当たりがありませんか?

もしもこうした”ネガティブ”な感情をもとにして「退職」、「転職」を考えているということであるならば、その時は、「もう一度冷静に考えてみる」ということが絶対的に必要です。

つまり、そうした「”高い志”と”現場”とのギャップ」や、職場で感じる仕事に対する「得も言われぬ”違和感”」といったものの中にある、本質的な自分の不満は一体何なのか、といことを突き詰めて考える必要があるのです。

これをせずに、漠然とした”ネガティブな感情”をもとに次の職場を探し始めると、必ず失敗します。

「私は職場に何を求めているのか」、「次の職場(転職先等)には、それに対する”解”が本当に存在しているのか」、ということをしっかりと”明確化”しておかなければならないのです。

誤解してもらいたくないのは、私は、そうした”高い志”や、現場で感じた”違和感”といったものを否定しているわけでは決してありません。

むしろ、それに気づけたということ自体は、”幸せなこと”だとすら感じます。

なぜなら、現実の社会において、”自分の本当にやりたいこと”と”現実”とのギャップを体感し、それを「知ることができた」わけですから。

これからは、それをより明確化していくことで、本当に自分の心が満たされる仕事、職場を見つけるためのアクションへとつなげていくことができるのです。

世の中には、「自分のやりたいことが見つからない。」という若者がたくさんいると言われます。

でも、実際には、自分のやりたいことを見つけ、それを全うする人生を歩める人なんて、そもそもそんなに多くはないのです。

あなたには、薬剤師という高い専門性があります。

あなたがもし今の会社を辞めて、転職を目指すというのであれば、その専門性を活かすことで、少しでも年収がアップすることを目指すも良し、より社会貢献への実感度の高い仕事へと移ることを目指すも良し、最も大切なことは、「自分の価値観を最も満足させられる職場」というものをしっかりと見極めるということです。

そのためにも、”自分の価値観”を明確にし、ビジョンを持って転職活動に取り組んでいくようにしていきましょう

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まとめ

さて、今回は「薬剤師さんたちの離職事情」ということで、どのくらいの薬剤師さんが会社を離れるという決断をしているものなのか、どんな時に仕事を辞めているのか、といった実態についてお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。

本分中でも触れましたが、人はそう簡単には自分のやりたいことを見つけられるものではありません。

本当に、心の底から薬剤師という仕事が天職だと思っている薬剤師さんというのは、いったい何人ぐらいいるのでしょうか。

それは、どんな職種で、どんな仕事をしている他人でも同じです。

スポーツ選手や職人さんといった、幼い頃からその道を極め、心の底から探求心や向上心を持って取り組んでいる人というのは、ほんの一握りしかいないのです。

今の仕事が自分に向いていないから辞めよっかな、という発想ではなく、自分が本当に大切にしている価値観は何なのかという本質的な部分に目を向け、そしてそれを突き詰めていくことで、少しはやりたいことに近づくことができるかもしれません。

当サイトのどこかの記事が、そのヒントになってくれれば、ファーマンとしては最高です。

それでは。

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