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【2021年最新版】薬剤師の就職先ランキング|厚生労働省『医師・歯科医師・薬剤師調査』

【2020年最新版】薬剤師の就職先ランキング|厚生労働省【医師・歯科医師・薬剤師調査の概況】

薬剤師の皆さん、そして薬学部生の皆さん、こんにちは。

令和元年(2019年)12月19日、『医師・歯科医師・薬剤師統計』の最新版が発表されました。

当サイトでは、薬剤師の方々の就職・転職状況等を確認するという目的で、前回調査分【平成28年】分についても取り上げましたが、今回その最新版である【平成30年版】、平成30年12月31日現在のものが発表されましたので、そちらについて改めて見ていきたいと思います。

今回も日頃なかなか目にすることのできない、「全国の薬剤師さんたちがどのような就業・転職状況にあるのか」ということについて解り易くまとめていきたいと思いますので、「他の薬剤師の就労状況を知りたい」という方は是非参考にしていただけたらと思います。

それではさっそく見ていきましょう。

‐ Contents (目次) ‐

「医師・歯科医師・薬剤師統計」概要

今回もまずは簡単にではありますが、この『医師・歯科医師・薬剤師調査』という統計そのものがどういうものなのかという、その ”概要” についてご紹介しておきたいと思います。(前回調査分の記事や当該統計の概要について既にご存知の方は次章へどうぞ。)

この調査は、【厚生労働省】が【 2年に1度 】実施している調査で、【調査年の12月31日現在】における医師・歯科医師・薬剤師に関する様々なデータを統計データとしてまとめ、その翌年末に結果を発表しているものになります。

したがって現時点 (2021年) における最新のデータは、令和元年 (2019年) 12月19日に発表された「平成30年版」ということになり、次回は令和 3 年 (2021年) 12月発表予定の「令和 2 年版」ということになります。

『平成30年(2018年) 医師・歯科医師・薬剤師調査の概況』

この統計の目的は、

「医師・歯科医師及び薬剤師について、性、年齢、業務の種別、従事場所及び診療科名(薬剤師を除く。)等による分布を明らかにし、厚生労働行政の基礎資料を得ること」

とされています。

調査の対象となるのは、日本国内に住所があり、

  • 医師法第6条第3項により届け出た医師
  • 歯科医師法第6条第3項により届け出た歯科医師
  • 薬剤師法第9条により届け出た薬剤師

また、その調査項目は、

  • 住所
  • 性別
  • 生年月日
  • 登録年月日
  • 業務の種別
  • 従事先の所在地
  • 主たる業務内容(薬剤師を除く)
  • 従事する診療科名(薬剤師を除く)
  • 取得している広告可能な医師・歯科医師の専門性に関する資格名(薬剤師を除く) 等

とされています。

統計全体としては、医師および歯科医師、そして薬剤師という3つの職種ごとの状況ということになるわけですが、当サイトは薬剤師さん向けの情報提供が目的ですので、ここでは【薬剤師の状況】に限定しその内容を見ていくこととします。(医師・歯科医師についても関心があるという方は上記リンクより実際の統計データをご覧ください。)

薬剤師数

それでは統計の内容に入っていくことにしましょう。

まずは、「薬剤師って全国に何人ぐらいいるの?」という点、「薬剤師数」についてです。

平成30年12末時点(直近)での薬剤師数は、

  • 合計:311,289人 (前回調査比 3.3%増)
  • 男性:120,545人 (前回調査比 3.2%増)
  • 女性:190,744人 (前回調査比 3.4%増)

となっています。

全体の人数としては約31万人超、またその増加率は全体および男女別で見ても約3%増と今回も過去最高を更新し、毎年増加の一途を辿っている状況に変化は見られません。

また、男女比率に関しては、自身の学生時代の感覚として、おおよそ6:4という実感を持っていたという人も多いのではないかと思いますが(もちろん学校によって差はあります)、ほぼキレイにその割合に近しい数字【女性:男性=61%:39%】となっている状況が見て取れます。

就業先ランキング

続いてここからは、いよいよ本題である薬剤師の「就業先」、つまり「世の薬剤師さんたちが、どういった業種でどのような職種に就いているのか」ということについて見ていくことにしましょう。

平成28年(2016年)末時点における薬剤師の就業先上位ランキングはというと、

  • 第1位:薬局 (58.0%)
  • 第2位:医療施設 (19.3%)
  • 第3位:医薬品関係企業 (13.3%)
  • 第4位:その他 (5.4%)
  • 第5位:大学 (1.7%)

このような状況になっています。そしてさらにこれを細かく見ていくと、

就業状況 薬剤師数 構成割合
1 薬局の勤務者 163,717 52.6
2 医療施設で調剤・病棟業務に従事 57,304 18.4
3 病院で調剤・病棟業務に従事 52,596 16.9
4 医薬品製造販売業・製造業に従事(研究開発、営業、その他) 29,009 9.3
5 薬局の開設者又は法人の代表者 16,698 5.4
6 医薬品販売業に従事 12,294 3.9
7 無職 10,339 3.3
8 衛生行政機関又は保険衛生施設での業務に従事 6,661 2.1
9 その他の業務に従事 6,517 2.1
10 診療所で調剤・病棟業務に従事 4,708 1.5
11 大学に勤務(研究・教育) 4,754 1.5
12 医療施設で治験・検査等の業務に従事 2,652 0.9
13 病院で治験・検査等の業務に従事 1,554 0.5
14 診療所で治験・検査等の業務に従事 1,098 0.4
15 大学院生又は研究生 509 0.2

このような状況となっています。(一部重複計上あり)

こうして見ると、やはり薬局を中心とした”調剤業務”に従事する薬剤師さんが全体の大多数を占ているということが解ります。

ちなみに、「無職」の人が約1万人、全体の3.3%となっていますが、これはおそらくそのほとんどが結婚や育児といった理由から一旦職を離れている人たちであると推察されます。

また、”増減率”でみると、薬剤師全体の人数が増加したことに比例して、各職種における人数も微増となっている状況ではありますが、「薬局の開設者又は法人の代表者」が、前回に引き続き【-2.9%】と微減となっていたり、他にも「診療所で調剤・病棟業務に従事する者」や「医療品製造販売業・製造業に従事する者」がそれぞれ【-2.9%】と【-4.2%】となっていて、バランスの変化が見られます。

薬局の代表者等に関しては、前回調査時同様、薬局の淘汰や大手の買収等による再編が進んでいる可能性が高く、その流れは変わらない状況であることが判ります。

ただその一方で、薬局業界におけるM&A(合併・買収)については近年徐々に変化が見られ、一時期の様な大手グループによる”買い漁り”とも言える買収攻勢は徐々に落ち着きつつあり、近年ではその買収価格が落ち着きを見せ始めるなど、今後は違った方向性に動いていく事も予想されています。

また、診療所および医療品製造業関係者の減少は、より身近な薬局勤務等を選択する薬剤師が増加している、もしくは企業側が研究職を減らしているという現状があるのではないかと思われます。

実際に採用環境においても、近年は薬局から薬局への転職は相変わらずあるものの、ちらほらと研究職などの調剤業務未経験者の薬局への転職が起こっているというのが実感としてあります。

その他にも、大学院生が【-2.7%】、衛生行政機関又は保健衛生施設従事者が【-2.2%】など、就業先の全体バランスがより薬局勤務者に偏り始めている傾向が見て取れます。

今後薬局業界では、技術の進歩や法改正などにより、ネットの利用や郵送、自動化の広がりなど、処方形態そのものが抜本的に変化することも予想されている中で、同時に急速な高齢化も進んでいき、そういった環境変化を薬剤師がどのように捉えるようになるのか、こういった就業状況の分析も通じてよく観察していく必要がありそうです。

年齢別ランキング

続いては、「年齢別」での就業先の状況です。

まずは、薬剤師全体の年齢層別の分布状況を見てみると、

  • 29歳以下:12.5%
  • 30~39歳:25.4%
  • 40歳~49歳:23.4%
  • 50歳~59歳:20.0%
  • 60歳~69歳:13.3%
  • 70歳以上:5.4%

このようになっています。

層としては、【30~39歳】、【40~49歳】という所が厚くなっていて、平均年齢が【46.4歳】ということですので、比較的全体にまんべんなく分布しているという状況に変わりはありません。

そして、年齢別の就業先状況はというと、(以下、拡大可)

このようになっています。各年齢層における就業先人数トップ3で見てみると、

  • 29歳以下:1薬局2病院3医薬品関係企業
  • 30~39歳:1薬局2病院3医薬品関係企業
  • 40歳~49歳:1薬局 2病院 3医薬品関係企業
  • 50歳~59歳:1薬局2医薬品関係企業3病院
  • 60歳~69歳:1薬局2医薬品関係企業3病院
  • 70歳以上:1薬局2その他3医薬品関係企業

このような形です。

唯一、【40~49歳】の層において、2位と3位が入れ替わり、前回調査で「医薬品関係企業」が3位だったのが2位になり、「病院」が3位となっている以外は前回調査時と同じ状況となっています。

当然年齢層別で見ても、全年齢層において「薬局」が最多となっており、若年層はその次に病院、50歳以上では薬局の次に医薬品関係企業が来ています。

前章でも触れましたが、薬局の乱立といった背景もあり、職の”供給元”という意味においても、やはり薬局が就業先としては圧倒的な数を占めているというのが現状のようです。

次にそれを表すデータについても確認しておきましょう。

2000年を超えた辺りから急激に薬局勤務の薬剤師が増えていることが判るかと思います。(グラフ中の「医療施設」は、「病院」および「診療所」を指す)

薬剤師の就職・転職先については以下の記事でも書きましたが、

薬剤師の未来を大胆予想!これからの薬剤師におすすめの『就職先』と『必要な能力』将来性を見極める!
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いきなりですが、これからの薬剤師に求められる”素養”とは、いったい何でしょう? 「素養」:平素の修養によって身につけた教養や技術 「薬剤・薬学に関する深く幅広い知見?」「医療技術の進歩に貢献するための ...

この傾向がこの先長期にわたって継続すると安易に決めつけてしまわない方が良い部分もあるのではないかと考えています。

医療の現場レベルでの技術革新等による、医療従事者の勤務形態、就労状況というのは今後変化が大きくなっていくと思われます。

そんな時代の流れの中において、薬剤師として、自分の年齢やこれまで培ってきた個人の能力とも照らしながら、どのような技能を身に付けていくべきなのか、しっかりと将来性をも見据えて行動をとっていく必要があるでしょう。

まとめ

さて、今回は定例の薬剤師さんの就労実態について見てきましたが、いかがでしたでしょうか。

「前回調査時と大きく変化が起きていない。」と結論付ける事は簡単ですが、高齢化の急速な進展による日本の人口分布の変化、そして調剤業務を行う現場レベルでの技術の進歩による薬剤師に求められる能力の変化というような動きは、誰の目にも明らかで薬剤師自身にも変革が求められる時代がすぐそばまで来ています。

就職・転職を考える上においては、人生設計をベースにした数年単位での判断と併せて、10年単位での”将来性”といった部分にも気を配っておかなければなりません。

同じ”薬局での調剤業務”とは言っても、その薬局の経営方針や導入設備の状況等によって、今後薬剤師に求められる能力というのは確実に変化していきますし、薬局以外の職場においても様々な変化がみられることになるでしょう。

薬機法の改正状況等とも並行しながら、今回の様な”薬剤師全体の動向”というものについても、継続的にチェックするという姿勢を持ち、しっかりとその方向性を見極めることが大切です。

次回の発表は2021年12月です。その時はまた是非当サイトを覗いてみてください。

それでは。

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